火の鳥・鳳凰編 我王と早魚4

あらすじ ネタバレ注意

ある時、何者かにより越後の国分寺の山門が焼かれ、宝物が持ち去られます。山門の補修工事の現場を良弁上人と我王が通りかかります。突然、我王に対して、盗賊はこいつだという者があらわれます。我王は強く否定し、濡れ衣だと叫びますが、捕縛されてしまいます。良弁上人は我王に抵抗するなと告げ、我王は仕方なく捕まったのです。

我王は苛烈な責めを受けますが、やっていないと否定し続けます。良弁上人に盗賊でないことを証明するよう求めますが、なぜか放置したまま、良弁上人は姿を消します。2年の後、山門を焼き、宝物を奪った犯人が判明します。焚き火をしていた者が過失で山門を焼き、ドサクサにまぎれて宝物を盗み出していたのです。

2年もの間無実の罪で責めを受けていた我王は、つき物が落ちたように穏やかな人間に生まれ変わっていました。そして、我王が幽閉されていた洞穴の壁には無数の仏が彫られていました。それを見た国分寺の僧正は、去ろうとしていた我王に寺に留まるように慰留します。そして、国分寺の鬼瓦を作るように願うのです。

我王は鬼瓦を作ることに気乗りがせず、だらだらと時を過ごします。我王を置いていなくなった良弁上人を恨む毎日です。酒びたりの我王を寺の僧たちはもてあまします。厄介者なのです。

ある日、酒を飲みながらうろついていた我王は、大仏建立のため、切り出された木材の搬出現場に遭遇します。役人が手荒く人夫を追い立てます。荷車が暴走し、何人もの人夫が跳ね飛ばされて死にます。役人は、また死におったと高笑いです。我王に向かって、作業員の死は、坊主の領分だろうと吐き捨てます。怒り狂った我王は、工房に戻って恐ろしい勢いで鬼瓦を作ります。そして、その出来栄えは鬼気迫るものがありました。国分寺の僧正はあまりの出来に感嘆します。

良弁上人の行方がわかりました。奥州平泉の国分寺で即身仏になるというのです。我王は死に物狂いで駆けつけます。雪の中、奥州平泉の国分寺の門を叩いた時には、良弁上人は即身仏になるべく、穴に入られて10日が経過した後だったのです。

竹で作られた空気穴から微かに鈴の音が聞こえます。良弁上人はまだ生きていたのです。良弁上人は我王に詫びます。我王が無実の罪で捕らえられたとき、我王を助けなかったことをです。良弁上人は、我王が捕らえられたのは、我王が受けるべき試練だと思ったというのです。この試練を乗り越えれば、我王の中に仏が生まれるのだと。

良弁上人は続けて言います。大仏建立の為の寄進を取り付ける為に全国を歩き回り、ようやく目的の額を用意することができた。ワシの役目は終わったのじゃと。しかし、役目を終えて気づいたのじゃ。ワシの全国行脚も、結局は政治に利用されただけであったのだと。それだけのものでしかなかったと。良弁上人は自分に残されたものはもう、即身仏の道しかないというのです。

我王は良弁上人のそばにいて見守ることにしました。そして、時がたち、掘り起こされた良弁上人の死骸は、干からびた我のように見えました。良弁上人の即身仏を見ながら我王は思いを巡らせます。そして悟るのです。虫魚禽獣死ねばみな同じだと。人が死んで仏になるなら、生けるものすべてが仏なのだと。生き死がなんなのだと。人の人生などちっぽけなものだと。

我王は奥州平泉の国分寺を飛び出し、放浪を続けます。頼まれるまま仏像や鬼瓦を作る我王は次第に民衆に慕われるようになります。ですが平和な日々は長くは続きません。仏師として名をあげてきた我王に政治の魔の手が迫ってくるのです。

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